わが国は法治国家であり、何事を行うにしても法律の規制を受けます。法律業(士業)を行う団体は、自身が属する士業の目的達成のために、それぞれの政治団体を持って活動しています。社会保険労務士という立場が存在し、業務を行うことができるのも、「社会保険労務士法」という法律があるからです。
国会は日夜、法律の制定改廃・外交・予算などに関して議論がなされています。「この仕組みはこのような不具合があるから直したほうがいい」「このような仕組みを新たに作ってはどうか」などについて、国民のひとり一人が直接国会の場に立ち会い意見を述べることはせず、国民を代表する衆参の両議員の方々が議論を行い、法律を作ったり、改正したりしています。
社会保険労務士のさらなる地位向上を実現するため、政治連盟は私たちの業務を理解し、協力してくれる国会議員の方々に常に働きかけていかねばなりません。社会保険労務士が、専門家としてその業務を行う上で、各種制度の不具合事項などを広く議員の方々に知って頂き、その改善を求めてゆく必要があります。
平成19年4月から、一定の労使紛争について裁判外で解決をはかるしくみ(ADR)について、「特定社会保険労務士」(試験合格と付記が必要です)が、この運用に参加できるようになりました。これは、かねてから政治連盟が関係各方面に要望を訴え続けてきた結果、社会保険労務士としての経験や専門知識が認められたということです。これにより、社会保険労務士としての業務がよりスムーズ(万一、関与先で労使紛争が起きた場合にも対応可能)に行えるようになり、また、国民からみても選択肢が増えて利便性が向上しました。
政治連盟の当面の課題として、ADRに関するさらなる利便性向上・簡易裁判所における訴訟代理権獲得・各種制度の改善などがあります。さらに社会保険労務士のさらなる職域拡大と地位向上、そして労働・社会保険分野で社会保険労務士にメリットのある運用を行って頂くために、これからも要望を提出していきます。その活動は、特定の政党や議員のみに偏らず、広く社会保険労務士制度に理解がある政党・議員の方々に対して行っていきます。
弁護士、税理士、公認会計士、司法書士、行政書士など他士業の団体も同様に政治連盟という組織を有し、その活動を行っています。
政治活動(もっともそれだけではありませんが)の結果、法改正が行われ、すべての社会保険労務士は、もれなく、その成果を享受することとなります。
みなさんは、「社会保険労務士」になるために、社会保険労務士登録をされました。従いまして、開業・非開業を問わず、社会保険労務士である以上、社会保険労務士法を守っていかねばなりません。それは自身を守るためでもあります。
つまり、わたしたちは、法律に基づいて社会保険労務士業を行っているという自覚にたって頂きたいのです。社会保険労務士会があって政治連盟がある、否、政治連盟があって社会保険労務士会がある。どちらの言い方も正しいのです。
その意味で、政治連盟と社会保険労務士会は車の両輪であるというということがおわかりいただけたと思います。